この業界が衰退するのを遅らせたい
―― ということは、まちから書店がなくなるのは、必ずしも日本人の本離れということだけではなく、システムの問題がある、と。
今村:僕はまず、システムの問題が大きいと思います。この業界は長年、そのあたりの誤謬(ごびゅう)があっても大ベストセラーの漫画や本が出ることで、だましだましやってこられた。だから、この先もだましだましでやっていける、という期待もありますが、現実として市場規模が縮小している以上、そうそうおいしいことが起きる時代ではなくなっています。
で、ここからが肝心なのですが、市場が小さくなっているなら、その業界はいずれなくなっても仕方ないよね、というのが普通の考え方です。ただ、書店・出版業界には本を愛しているファンが根強くいることも事実なんです。
僕もそうですし、読者さんもそう、書店員さんもそう、編集者もそう、出版社もそう。この業界が好きで、なおかつ文化的にも、教育的にも意味があると信じていて、絶対につぶしたらあかん、と思う人たちがいっぱいいるんです。
―― 私もそうです。
今村:だから、本当なら全員が連合して反転攻勢をかけなければならないんだけど、ただその時期がいつなのか、どうやればいいのかもよく分かっていない。いずれ坂本龍馬、渋沢栄一のような天才が出てきて、出版社、取次、書店、作家、漫画家などの枠を超えて、反転攻勢を仕掛ける時が来る……と思うけど、それまでは僕がやれる延命措置をやる。1分でも1秒でも、この業界が衰退するのを遅らせたい。それが今、このビジネスを始めるもう一つの理由です。