長女の産後1年間は、子どもとしっかり向き合おうと思い、ドラマや映画への出演は控えていましたが、2人目を産んだ後は、母や叔母、友人など、私を支えてくれる人たちが、「もっと仕事をしたほうがいい」と背中を押してくれて。

子育てや家事などはできるだけ自分でしたいという気持ちがありますし、できないとつい、「ごめんね」という気持ちになってしまいます。でも、そんな時にみんなが「頑張りすぎなくていいよ」という空気を作ってくれるのは、本当にありがたいですね。人に頼ることの大切さもわかってきました。

 

もし娘が、将来女優になりたがったら

長女は私の仕事に興味があるらしく、「ママがお仕事しているところ、見に行きたい」とせがむんです。もし彼女が、将来女優になりたがったら──「すごく大変だよ」と言うと思います。

デビューしたのは、中学生の時。急激に環境が変わり、すごく忙しかったので、自分を見失いそうになってひとりで泣くこともありました。現実逃避したくなると、NHKの子ども向け番組や『アンパンマン』を観たりしていましたね。

『婦人公論』4月28日号の表紙に登場した上戸彩さん(表紙撮影:篠山紀信)

いつか芸能界の仕事を辞めて、子どもの頃からの夢だった保育士になろうと思っていましたが、それも一種の逃避だったのかもしれません。そんな時、事務所の社長から「プロ意識を持て」と言われて。そうか、私はプロなんだと気づいたら、だんだん気持ちを切り替えられるようになっていき……。

20歳の時、保育士の夢を手放すために子どもに関する資格をひとつ取ろうと決意し、「チャイルドケアライセンス」を取得しました。踏ん切りがつくと同時に仕事がどんどん楽しくなり、撮影の現場が居心地のいい場所へと変わっていったのは、その頃からでした。