小湊鉄道に乗って、千葉県市原市にある湖畔美術館へ(写真提供:中島さん)

もうひとつの理由は、「少し運動しなきゃ」と感じたことですね。物書きという仕事柄、「家にいていい」と言われたら、それこそ一歩も外に出ないままで一日が過ぎていく。そんな生活を続けていたら、足腰がどんどん衰えていってしまいます。

以前はウォーキングをしていたこともあったのですが、やみくもに「1日1万歩」なんて続きません。その点、「ここに行こう」と決めた日帰り旅なら、お散歩の延長で楽しく歩くことができるんじゃないかなって。そこで、月に1度の割合で「ぼーっと日帰り旅」に出かけるようになったのです。

行き先は「ちょっとそこまで」の感覚で、都内にある自宅から気軽に出かけられる場所。

近場では、三鷹市にある国立天文台三鷹キャンパスや文京区にある小石川植物園。少し足を延ばして、神奈川県伊勢原市にある大山阿夫利(おおやまあふり)神社や、栃木県宇都宮市にある大谷石(おおやいし)の採掘場をそのまま保存した大谷資料館にも行きました。小湊(こみなと)鉄道に乗って、千葉県にある市原湖畔美術館まで出かけたことも。

どこも、いわゆる人気の観光スポットではないので派手さはないけれど、実際に旅してみたら、思っていた以上に楽しかったんですよ。

たとえば、東京湾に面した倉庫街の真ん中にある東京港野鳥公園。とても地味な公園で、見るものといえば、沼のような水辺とそこに集まっている川鵜(かわう)や鷺(さぎ)ななどの野鳥たち。

それでも、目の前に広がる水辺で、日の光にキラキラと輝く水滴を飛ばしながら水浴びをしている鴨たちの様子をのんびりと眺めていると、心がスーッと浄化されていきました。