以前、「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログが話題になりました。これ自体は個人攻撃ではないとはいえ、「死ね」という言葉は日常では使いません。昔なら公の場で言ってはいけない、タブー視されたきつい言葉が、ネット上では好まれる傾向にあり、むしろそのほうがカッコよく見える。人種差別や学歴差別のようなことも平気で言えてしまうのです。
だからといって、日本人が残酷な性格になってしまったかというとそうでもない。木村さんの件でも、誹謗中傷したなかには「悪気はなかった」「盛り上げようとして」などと、反省している人もいるといいます。
しかし投稿者にアクセス数を上げたいという意図があったにしろ、誹謗中傷をしてはいけません。それは相手が有名人であっても、政治家のような公人であっても同じなのです。
特に芸能人は、その人のキャラクターをいじっておもちゃのようにされる傾向にあるので、誹謗中傷の線引きは難しい。たとえば、お笑い芸人が笑いをとるために、舞台の上でバナナの皮で滑って転ぶコントをやったとしましょう。それで観客が「あいつバカだなあ」と笑うのは、暗黙の了解があり、それを売り物にしているので誹謗中傷には当たりません。
しかし、その芸人が普通に道を歩いていて転んだのを見て、「あいつ道端で滑った、バカだな」とネットに書くのは、また別問題。お笑い芸人だから個人攻撃や人格否定をしてもいいかというと、ダメ。そして誰かが誹謗中傷しているのを見て、自分もまた同じように誹謗中傷してもいいということにはなりません。
初心者でも責任は同じ
SNSと正しく向き合うためには3つの心構えが必要です。ツイッターであれ、ブログであれ、フォロワー数が少なくても、まずは、「ネットは公の場」であると肝に銘じること。自分は今、多くの人の前でマイクを持ち立ち上がって話している、というイメージで、多くの人に見られていると想像することです。
次に「立ち止まって考えてみる」こと。簡単に書き、ボタンを押して即ツイートするのではなく、冷静になってから読み返してみる。1秒を争ってやらなければならないことではないはずですから──。