料理好きの美恵子さんの台所。今も毎日ここに立つ(撮影:本誌編集部)

デイサービスでは積極的に体を動かす

料理に使う野菜は、月に2回、団地の下にやってくる巡回の八百屋で購入する。

「お米を買うときには、5000円くらいかかるけれど、たいていは1000円以内ですむの。ほら、そこに置いてあるネギも3本で100円。安くて新鮮で甘くて、おいしいのよー」

何を買い、いくら使ったかなどのお金の管理もできていて、こちらが質問をすると、次から次へと言葉が出てくる。もちろん、同じ話を繰り返したり、過去と現在の記憶が混在したりもするが、96歳という年齢を忘れてしまうほどだ。

水曜と金曜は楽しみにしているデイサービスの日。迎えの車がやってくる前に、集合場所に到着して仲間を待つ。手押しのシルバーカーを使って、自分で歩く。デイサービスでは積極的に体を動かし、「ボウリングでピンを倒したので、みんなにほめられて表彰されたのよ」と嬉しそうだ。時にはカラオケで十八番の「壺坂情話」を歌うことも。

それ以外の日にも、バスやタクシーを使って友達に会いに行き、自治体から支給される入浴クーポンで銭湯に行くこともある。