《回答》
いくら不満を隠して笑顔を振りまいても、「以心伝心」などありえません

相談者の夫が発した「俺の金で暮らしているくせに」という言葉は、本当にいやなものですよね。私も、少女時代に父から「誰のおかげで食べていけると思ってるんだ」と言われて傷つき、二度と言われたくない、そのためには経済力をつけねばと思って生きてきました。何も言い返せないつらさ、よくわかります。

私がこれまで見てきた限り、家庭でこうしたモラハラ発言を繰り返す夫は、職場や人間関係で不満を抱えていることが多いもの。相談者の夫も、周囲に当たる相手がいないから、家族であるあなたに矛先を向けてしまうのです。

お便りを読むと、間に入ってくれるお子さんが一緒に住んでいないようなので、一対一で向き合わざるをえず、なおさらつらいのではないですか。

私の知人で、仲良しの老夫婦がいらっしゃいます。ある時、夫人に「相手に不満はないのですか」と聞いたところ、彼女は「一度でいいから、私の意見に賛同してほしい」と答えたのです。それを聞いた夫は「そんなことを考えていたの?」と驚き、反省していました。

家族として長く一緒に暮らしていると、暗黙の了解が増え、「言わなくても伝わるだろう」と、コミュニケーションが雑になっていくものです。

でも、いくら不満を溜めつつ頑張って笑顔を振りまいても、以心伝心などありえません。意識してコミュニケーションを取らなければ、相手が察してくれることはない、と思ったほうがよいのです。