相談者は「立ち向かう方法はあるか」と書いていますが、モラハラ夫に言い返したり反抗したりしても逆効果。夫がイライラしてあなたに当たる回数を減らせないか、考えてみましょう。
私が長年人間の脳の仕組みを研究してきてわかったのは、男性は言外の感情を汲み取ったり、自分の発言に込めたりするのが苦手ということです。たとえば「おかず、これだけ?」というのは、事実確認のために聞いただけで、不服を表明しているわけではありません。
でも妻は、「一日じゅう家にいるのに、これだけしか作れないのか」と言われたと受け取って、カチンときてしまう。言葉通りに受け取り、「嫌味を言われている」などと深読みするのはやめましょう。慣れれば、いずれ発言を聞き流せるようになるはずです。
どうしても聞き流せない発言に対しては、「ポジティブな返し」をすること。言葉に詰まる、思考停止してしまうなど脳がネガティブな反応をする前に、とにかく声に出して、相手を肯定するのです。「それもそうね」「あなたの言う通り」など。ボールを打ち込まれたらすぐに打ち返すイメージです。
そして、自分の意思を表明する際には、前向きな「提案」として伝えるといいでしょう。相談者の夫の「温かい料理を温かいうちに食べたい」「おかずを少しずつ食べたい」に対しては、「そうよね、でも私もあなたと一緒のタイミングで食べたいの。だからおかずは3品作るから、大皿から取り分けさせて」と返す。言い方を工夫すると、夫の反応が変わるのが実感できると思います。
男性の脳は、「面でなく点で見る」という働き方をします。時系列上の記憶も同様で、あなたのことも「いつもこんな態度を取る」と思いがちです。それを利用して、ポジティブな印象を与えてみましょう。
たとえば、腹を立てていても、「おはよう」「いってらっしゃい」「おかえり」だけは平常心で言う。そのかわり、夫がいない間は、好きにやりましょう。