高2あたりで尾崎豊的な心が芽生え始めて
清水 小籔さんが舞台に立つと、やっぱりピシッとしまるって、野沢直子さんが褒めてたよ。
小籔 ほんまですか。そんなこともないと思いますけど、嬉しいです。ありがとうございます。
清水 座長になって、家族は大喜びなんじゃない?
小籔 90代のおばあちゃんが長生きしてくれてて、「お前がテレビ出てるからや」って家族からも言われますね。足が悪くて舞台にはこられないから、テレビの音量をマックスにして見てるらしくて。「ジェニーハイ」のことも「よかったなあ」って言ってくれます。
川谷 聴いてくれるのは、嬉しいですね。
小籔 このおばあは本当に堅い人で、小さい頃から僕をなんとしても国立の大学に入れて、ゆくゆくは公務員にしようとしてたんです。小学生のとき、「東大京大阪大……」って国立大学の名前を賢い順に言わされとったくらいで。
清水 小学生にそんな呪文を!
小籔 高校もまあまあな進学校に進んだんですけど、高2あたりで尾崎豊的な心というか、将来への疑問みたいなのが芽生え始めて、1100人しかいない学年で1098番まで成績が落ちた。そんなとき友達と難波を歩いてたら、劇場の前で憧れのバッファロー吾郎さんが呼び込みしてたんです。
清水 小籔さんが高2ってことは、90年代に入ったばかりの頃だね。
小籔 舞台にまずバッファロー吾郎さんが出てきて、時速150キロの笑いの球をバーンって抛(ほう)る。そのあと聞いたこともない千原兄弟っていうのも、150キロの剛速球。やっぱりプロの芸人は違う、と感心してたらその次の次に出てきた人が110キロくらいの球抛ってきて。
清水 そりゃ遅く感じるね。
小籔 なのにそいつ、そのあとのゲームコーナーで、バッファロー吾郎さんと仲よくワイワイ戯れてる。代われボケ、と思うでしょう。
清水 あははは。それが芸人を目指した理由?
小籔 友達はこれから4年かけて大学に行く。僕はとても行かれへん。なら同じ4年間で芸人の勉強やって、それからなにか探してもいいんじゃないかと思いました。