『長崎の鐘』は、悲しみと苦しみ、そして希望、これが絶妙に表現されている曲ではないかと思います。悲しい歴史を歌い継いでいく中でもやっぱり希望はほしいじゃないですか。コンサートに来るお客さんは、歌のどこかに明るい希望を期待して来ています。もし、すごくジメジメとして暗い気持ちになっちゃったら何のためにコンサートに行ったのだろうとなってしまいます。ですから、希望があるというところがこの曲の魅力でしょうね。

 

モーツァルト、ベートーベン、古関裕而

そして、古関作品の魅力というと、メロディーが親しみやすいところだと思います。歴史に名前が残っていく作曲家は、この親しみやすいメロディーを作っているというのが1つのキーワードで、例えばクラシックの世界だとシューベルトもそうだしモーツァルトもそう。古関さんは高尚で難解な曲もありますが、シンプルで親しみやすい曲もたくさん作っています。

音楽っていうのは歴史がその価値を判定してくれるんですよ。例えばそんなに才能がなくてもものすごいイケメンだったりすると、その時は大人気になったりするわけです。ただ、そうやって受け入れられても、その人が亡くなった後は作品だけが価値を決めることになります。その人がイケメンかどうかというのはどうでもいいんですよ、歴史にとっては。

たとえば、モーツァルトの時代、彼より有名だった音楽家は他にもいます。だけど今、当時の音楽家の中ではモーツァルトが最も有名である。ということは彼の作品がよかったということです。歴史に名前が残るというのは、いい作品を残しているかどうか。そういう意味で古関さんは、彼の曲がいまだにこんなに歌われていることを考えると、歴史的な作曲家といえる。モーツァルトやベートーベンがいて、古関裕而がいると位置付けてもいい。そういう人だと僕は思います。

 

秋川雅史が熱唱!『長崎の鐘』

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