『婦人公論』2000年10月22日号より(撮影:川上尚見)
5億2000万円の借金を抱えて自己破産、公私を支えた愛妻の急死…人生の岐路で『婦人公論』に心境を語っていた岸部四郎さん。その波乱の人生と、残した言葉を辿ります(撮影=川上尚見)

人気絶頂のザ・タイガースのメンバーに

タレント・俳優の岸部四郎さんが、8月28日に拡張型心筋症による急性心不全のため、死去していたことがわかった。享年71。

1949年、京都府に生まれた岸部四郎さんは、中学卒業後に上京。69年、兄・岸部一徳さんの誘いにより、沢田研二さんらのいる人気グループ・サウンズ「ザ・タイガース」のメンバーになる。

〈(デビュー前に1年過ごした)ロサンゼルスから帰国、飛行機を降りたら、マスコミが50〜60人来ていて驚きました。僕は全然知らなかったんだけど、「雲隠れしていたザ・タイガースのメンバーが登場する」という設定になっていたんです。で、翌日から早速仕事ですよ〉
(「お金なんて、ないにこしたことはない」『婦人公論』2000年10月22日号より)

ザ・タイガースが1971年に解散後、四郎さんはドラマ『西遊記』で沙悟浄役を演じるなど、俳優・タレントとして人気者になった。

07年のインタビューではこう振り返っている。

〈20歳で人気絶頂の”ザ・タイガース“のメンバーになり、ちやほやされてきましたから、自分では気づかなかったけど、僕の感覚はやっぱり普通と違っていたんですわ。何をやっても「岸部さんって、おもろいわ」で、許されてきちゃいましたからねえ〉
(「ひとり残された僕は、これからどうしたらいいのか」『婦人公論』2007年7月7日号)