兄・一徳さんが見舞いに行くと

2012年1月には、沢田研二さんのコンサートのゲストとして、車椅子姿で武道館に登場し、一躍時の人に。しかし、その直後、大腿骨を骨折してしまう。兄・一徳さんのインタビューによると、その後はリハビリをしながら、グループホームにいたという。

〈こないだもお見舞いに行ったんですけど、うっかりしてたら2カ月くらい経ってたんです。(略)そうすると、「しばらく来なかったね」と言ったりするんです。よく覚えているんですよ(笑)。で、時々は「今日は何を持ってきたの」って。最初部屋に着いて、しばらくしゃべるでしょ、調子どう? とか。もうそれを早く切り上げて、おみやげを出してほしいのね。(笑)〉

〈この間わらびもちを持っていったら、意外とおいしいとか言って食べていたな。わらびもちがちょっと大きめだったから4分の1に切ってくれって言うんですよ。で、小さいのを口に入れてくれと。だから食べている時が一番幸せなのかなって〉
(岸部一徳「弟・四郎の失敗は自業自得。でも、見放せない」2016年7月26日号)

「もうちょっと元気にならないと。元気になれば仕事もできるのにと思うんですけどね」と語っていた一徳さんだが、結局沢田研二さんのコンサートが四郎さんの最後の公の場になった。

小緒理さんが亡くなった時にこう語っていた四郎さん。

〈いくら悔やんだところで、彼女が戻ってくることはありません。どうしても会いたければ僕があっちに行くしか方法はないんですよ〉(『婦人公論』2007年7月7日号)

愛妻との別れから13年、2人はあちらで会えたのだろうか……。