「毎日ダルくてバイトに行くにも起きられなかったのに、パチンコを打ちに行く時は違う。新台オープンの為に張り切って早朝に起きた」(写真提供:青木さやかさん)
青木さやかさんの好評連載「47歳、おんな、今日のところは「……」として」ーー。青木さんが、47歳の今だからこそ綴れるエッセイ。母との関係についてふれた第1回「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」が話題になりました。第6回は「〈ギャンブル依存症〉として」です。

1万円が100円に見える日も

かつてパチンコのことばかり考えていた時代がある。25年くらい前、実家のある名古屋(本当は名古屋市ではない)にいた頃から。毎日ダルくてバイトに行くにも起きられなかったのに、パチンコを打ちに行く時は違う。新台オープンの為に張り切って早朝に起きた。目覚まし時計より早く起きることができたものだ。

パチンコ友達のおじさんと店で待ち合わせして、前日に台ごとの回転数を控えてあった紙を見ながら話す。
「35番台がいいよ」
「昨日35番台に座ってたおばさん、今日も来てる。取れないかも」
「走って35番台にタバコ置いといてやるよ」
「えー、いいの!」

そして35番台を朝一で取れた日は世界一ついてる! という錯覚に陥った。決してお金があったわけではないが、その時ばかりは「1万円が100円」くらいの感覚になった。