お芝居に気持ちを集中できるようになったのは、昨年イギリス留学をして、リフレッシュできたのが大きいかもしれません。十分休んだので、休みたいとも思わないんですよ。(笑)

留学を決めたのは、英語を学んで自分の可能性を広げたいと思ったから。時間が取れなくて2ヵ月の短期留学だったのですが、すごく羽を伸ばせました。ステイ先はイギリスのポーツマスという海岸沿いの町です。語学学校へ行き、歌の練習をしたり、ボイストレーニングやワークショップに通ってみたり、舞台や美術館にも行きました。

勉強だけでなく、ステイ先のルームメイトとご飯を食べたり、観光スポットにも行ったりと、自由な時間も過ごせました。そういうゆったりとした時間を過ごすことで、自然と視野が広がって、新しい発見もできた。休息の時間も有意義なものなんですね。

とはいっても、英会話に関してはまだまだ勉強中。まずは日常会話で困らないレベルに達するよう、時間がある時には勉強を続けています。実は今日も仕事の前、朝の7時から1時間、先生についてマンツーマンのレッスンをやってきました。

あとは仕事の合間に30分でも休憩があれば、英語で言えなかったり、言いたかったりしたフレーズをリストにして、先生に電話で質問しています。先生の発音を即座に復唱するシャドーイングという練習方法を取り入れているのですが、なかなか身につかない。でも、これは毎日続けてやるしかないな、と。

 

初心に帰らせてくれた監督の言葉

前回、『婦人公論』に三浦さんが登場したのは、舞台『地獄のオルフェウス』に出演した4年前。それから、ミュージカル『キンキーブーツ』ではドラァグクイーン役を演じ、美しく振り切れた芝居と表現力豊かな歌声で新境地を開くなど、果敢に難役に挑戦してきた。

2019年に主演を務めた『アイネクライネナハトムジーク』は、伊坂幸太郎さん原作の恋愛映画。三浦さんは「劇的な出会い」を待つだけのサラリーマン・佐藤を演じる。不器用ながらも一所懸命な佐藤と多部未華子さん演じる恋人・紗季の、10年にわたる恋愛を描いた物語だ。

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僕の演じる佐藤はごく普通で、特に目立った特徴のない人物。そういう役を演じるのは、正直難しいんです。ただ、どんな人にも癖というものが1つや2つはある。今回、つかみどころのない佐藤というキャラクターを演じるにあたって、僕だけにしかできない特徴を出していこう、演じるときに軸となるものを1つ用意しよう、と意識しました。

そこで参考にしたのが、ロシアの演出家・スタニスラフスキーのメソッドです。簡単に言えば、このキャラクターはゴリラに似ているなとか、蛇に似ているなというところにインスピレーションを得て、ある動物の仕草をキャラクターに取り入れるというもの。

彼の本を読んで、これだ! と思い、実践で取り入れてみました。佐藤を演じるにあたって僕がどんな動物の動きを取り入れているのか、想像しながら観て、楽しんでいただければ嬉しいですね。