「わぁ、新鮮!ストール一枚で変わりますね」(村山さん) 「ハードな革とレースのコントラストは、まるで村山さんの人生みたいで面白いのでは」(地曳さん)

夜中のユニクロ買いがとめられない

地曳 お話をうかがっていると、村山さんは、洋服の好みをはっきりとお持ちのようですね。

村山 結構、奇抜なデザインが好きです。実は今日、シルクとコットンがパッチワークのようになった、デザイン性の高いインポートもののワンピースを買ってしまいました。すごく好きなスタイルだし半額セールでもあったのですが、よく考えたら着ていく場所を選ぶな、と思って。

地曳 ちょっと罪の意識がある、と。でもそれを3回着て楽しかったら、十分モトを取れるのではないですか? たとえば今シーズン中に6回は着ないともったいないと思ったとする。しかし奇抜なデザインだから、6回は着ないかも。とはいえ半額だったのだから、半分の3回、気分が上がれば、買った価値は十分あります。

村山 なるほど、そう考えれば確かに罪の意識は減りますね。

地曳 たまにはそういう解釈もあり、です。日本人は真面目だから、何回着られて、着回せるか考えて、納得してから買わなければ、と思い込んでいます。確かにそのほうが失敗しないでしょう。でも、単純に気分を上げるためだけの服も買っていいのです。つまらない服を着てつまらなそうに生きるより、ずっといい。

村山 私の場合、執筆中にストレスがたまってくると、ユニクロなどの通販サイトを覗いてしまうのです。送料無料になるまで、どんどんカートに入れちゃう。(笑)

地曳いく子さんの新刊『日々是混乱 これが私のニューノーマル』集英社・2020年11月26日発売

地曳 ユニクロの商品は素材がいいものを買えば、デザインがシンプルなので手持ちの奇抜な服とも合わせられると思いますよ。届いた後、失敗したと思ったら、せっせと返品するか、どなたかに差し上げて、クローゼットに死蔵しないことが重要です。

村山 失敗といえば、月に数回、軽井沢から東京に来るのですが、外出用に選んだ服を着て来たはずなのに、東京駅に着いたとたん、自分が浮いて見えることがある。「おまえ、田舎から出てきたな」と指さされているようで。それで東京駅の隣の大丸に駆け込んで、今すぐ着替えられる服を探すことがたびたび。でも、ものすごい集中力で選ぶからなのでしょうか、わりといいものが見つかります。今すぐタグを切って着たいという切実な思いがそうさせるのか……。

地曳 「買って今すぐ着たい服」は、今日の自分を最大限よく見せたいという目的が明確。だから間違いが少ないのです。「来年も着られそう」とか「着回しできそう」という視点で選ぶと、そこそこのものしか見つかりません。私もスタイリストでありながら、出先で「なんかヘン」と思うこと、あります。そういうときはZARAに駆け込む! 今のトレンドが揃っていてサイズも豊富なので、自分に似合う服を探せます。