荻原 収入が不安定になった時に家計でまず見直すべきなのは、月々決まった額が出ていく「固定費」ですからね。実際の契約内容を見ないと確かなことは言えませんが、たとえば日本は健康保険制度が整っていますし、最近は病院も長く入院させてくれなくなったので、入院保障などは低く抑えてもいいかもしれません。子どもが成人すれば、親の死亡保障はなくすこともできます。
野々村 でも、担当の方が手土産やグッズなんかをくださると、「安い契約に変更して」とはなかなか言い出しにくいんですよ。今は営業の方も苦労しているようで。
荻原 従来の保険は、そうした人件費も保険料に含まれているとも言えます。もっとドライに保障内容や保険料を比較したいなら、人件費の含まれないネット通販型保険を検討してみてはいかがでしょう。
今だからこそ現金主義が安心
野々村 保険でいうと、うちは学資保険に入っていないんです。周りの先輩方から、「入っていてよかった」という話も聞いたので、入ったほうがよかったかなと思うのですが……。
荻原 確かにバブルの頃までは学資保険も運用利回りが良く、教育資金を貯めるにはおすすめでした。でも景気低迷で運用利益が上げられない今は、保険よりも、コツコツ貯金をして地道に増やしたほうがいいと思いますよ。
野々村 毎月出ていくお金でいうと、数年前に購入した住宅ローンの支払いもあります。
荻原 デフレの時は借金を減らして預金を増やすのが家計防衛の鉄則ですから、ローンはしっかり返済していきたいですね。今のところ心配ないとは思いますが、もし今後の返済が滞りそうだったら、住宅ローンを借りている銀行にできるだけ早く相談してください。
野々村 「返せへんのですが、どうしましょう」なんて、正直に言っても平気なんですか?
荻原 コロナ・ショックで返済が滞る人が増えるのは金融機関でも想定済みで、対応策をいくつも準備しているはずです。たとえば月々の返済額を減らして、そのぶん返済期間を延ばしましょうとか。最悪、利息さえ払ってくれれば返済を猶予しましょうとか。その人の事情に合わせて無理のない提案をしてくれると思います。
野々村 「返す意思はあります!」と示すことが大事なんですね。
荻原 督促の連絡を無視するのが、いちばんいけません。また「返済が遅れては大変」と、サラ金やカードローンでお金を工面するのも絶対にダメですよ。