放送作家の野々村友紀子さん(右)と経済ジャーナリストの荻原博子さん(左)(撮影:本社写真部)
お笑い芸人の夫と育ち盛りの2人の娘と暮らす、放送作家の野々村友紀子さん。コロナ禍で夫の仕事が激減し、自身の仕事の仕方も変えざるをえなかったといいます。家計への打撃をどう乗り越えたらいいのか、荻原博子さんと語り合いました(構成=山田真理 撮影=本社写真部)

カレンダーから次々予定が……

荻原 去年の9月に、東海ローカルの夕方の情報番組でご一緒しましたね。

野々村 あの頃はまだ、コロナの「コ」の字もなかったのに。まさかこんな世の中になるなんて、思ってもいませんでした。

荻原 私自身は講演会がいくつか中止になったくらいで、家にこもって原稿を書く生活にあまり変化はありません。でも野々村さんのようなお仕事は、かなり様変わりしたのではありませんか?

野々村 番組の打ち合わせや、講師をしているNSC(吉本総合芸能学院)の授業は、ほとんどリモートになりました。コメンテーターのお仕事も、自粛期間中はリモート出演が多かったですね。私は元芸人なので、放送業界の「中の人」と思われているのか、番組スタッフから機材がどさっと自宅に送られてきて、「自分でセッティングしてください」とお任せシステムだったり。(笑)

荻原 まあ未曽有の事態ですから、放送局も試行錯誤なんでしょう。しかし芸能界でも特に、お笑いの人たちは大変ですよね。

野々村 わが家の場合、夫(お笑いコンビ・2丁拳銃の川谷修士さん)は舞台を中心に活動する芸人なので、緊急事態宣言で劇場が開けられない期間はもちろん、イベントが軒並み中止になっている現在も仕事的には大打撃です。特に4月、5月はひどくて、夫と共有しているスマホ上のカレンダーから次々と予定が消えていくんです。

一つ仕事がなくなると、色の付いたマス目がパッ、パッと白くなっていく……あれは、そばで見ていてつらかったですね。デビューから27年間ずっと舞台に立ってきた人だから、それが急にゼロになるのは精神的にもしんどかったと思います。

荻原 私の知人でも、音楽や演劇、イベント関係の人からは「春以降、ずっと仕事をしていない」という悲鳴が聞こえてきます。