「収入が不安定になった時に家計でまず見直すべきなのは、月々決まった額が出ていく《固定費》です」(荻原さん)

野々村 やっと夏前から少しずつ劇場が再開されてきたので、夫も仲間たちと小さな会場を借りてお笑いイベントをやる予定でした。ところが再び感染が拡大してきたこともあり、企画自体がキャンセルに。しっかり稽古をしていたのに、無駄になってしまったようです。

荻原 たとえば個人でお店を経営する人も、自粛要請で営業ができなかったり街に人が出てこなくなれば、月々の家賃や人件費でどんどん赤字が膨らんでしまいます。雇用されて働く人とは、そこの事情が違いますね。

野々村 所属する会社からお給料がもらえる人はまだいいと思います。吉本興業の場合、芸人のギャラは歩合制で、基本給というものがないんです。

荻原 えっ、じゃあ仕事がなかったら収入はゼロ?

野々村 さすがに今回の緊急事態宣言の時は、会社始まって以来の英断で(笑)、あらかじめ出演が決まっていたライブのギャラの「半分」を支払ってくれました。でも、もともとの金額が微々たるものですし、芸人同士では「ずっと半額のまま据え置きされるんとちゃうか」と冗談で言ったりしています(笑)。ほかにも、貴重な収入源だった地方の営業もできないので、夫の収入は例年の10分の1にも満たないと思います。

荻原 漫才やコントの動画を撮って、YouTubeで配信する活動を始めた芸人さんも増えていると聞きますが、それで収入を得るのは難しいのかしら。

野々村 一本の動画がたくさん再生されたり、チャンネル登録といって一定のファンがつかないと、広告料で収入を得るまでには至らない。動画の配信でご飯を食べられる芸人は、ほんの一握りだと思います。

荻原 お笑いとアルバイトを掛け持ちする人も増えそうですね。

野々村 コンビニなどシフトが決まった職場は、お笑いの仕事が急に入った時に休みをもらいにくいんですよ。だから若手の芸人は融通のきく個人経営の飲食店で働くことが多いのですが、そういうお店がコロナの影響で閉店したり、バイトの人数や働く時間を減らしているでしょう。「このままでは生きていけない」という子が、私の周りにもいっぱい出てきました。

 

家計でまず見直すべきは?

荻原 収入が前年の半額以下になった月があれば、持続化給付金(コロナの影響で収入の減った小規模事業者は最大200万円、自営業者は最大100万円の給付金を受け取れる制度)の申請ができますよ。

野々村 はい、夫の分の手続きをしたらすぐに振り込んでもらえたので本当に助かりました。現在は私の収入に加えて、その給付金をちびちびと取り崩しながら生活している状態です。あとは中学生と小学生の娘がいるので、児童手当でなんとかなっています。

荻原 この状況はしばらく続くでしょうから、家計の見直しは絶対ですよ。

野々村 保険を見直そうかと考えているんです。外交員さんから勧められるまま契約した生命保険の保険料が、月に3万5000円とけっこう高いものですから。