鳥取県鳥取市・鳥取城跡の擬宝珠橋(ぎぼしばし)復元工事を見学

一生かけてもすべて見るのは不可能

中世のお城は、地質にも左右されます。基本的に地面を掘って堀を作り、掘った土を城内側に盛って土塁にするので、2m掘ると4m高低差が生まれる。建物は残っていないので遺構を見るわけですが、お堀の形や深さを確かめるだけでも、僕なんかは萌えるんです。

最近はお城関係のお仕事の依頼も多く、「米子城跡」や「群」の整備委員に声をかけてもらい、学芸員と一緒に城跡群を歩いては、「ここを発掘するといいかもしれませんね」などと語り合うのは、本当に楽しい時間です。

中世はいつ誰が襲ってくるかわからないから、主に戦いのためにお城を作ります。お殿様の住居である館の裏山にお城が作られているケースも多く、いざという時は山城で敵を迎え撃つわけです。また、要所要所に用途に合わせた出城を作った。「のろしを上げる」ためだけの小さな城もある。敵の城を囲むために、まわりに小さな城をたくさん作ったりもします。そんなふうにそれぞれ目的があるので、そのあたりも探ると面白い。

中世城郭の数はすごく多く、全国に3万とも4万とも言われています。よく「昇太さんは全国のお城をくまなく見られたんですか」と聞かれますが、とんでもない。50年近く見てきましたが、生きている間に制覇するのは無理です。

皆さんも気づかないだけで、通っていた学校が城跡だとか、実は自分が住んでいる場所が城跡だというケースもけっこうあると思いますよ。ここは城跡かも、という場所は、地図からも推測できることがあります。

たとえば川のそばの独立丘陵は、かなりあやしい。あとは地名ですね。簡単に言うと、城山とか城下とか。あるいは丸の文字が入っている場合も。残念なのは、近年、町名変更が進んでいること。地名に潜んでいる歴史が、見つけにくくなりますからね。