突然はじまった親の介護に、暮らしが一変してしまったという子ども世代も多い。
とくに介護費用への心配は尽きぬもの。専門家のアドバイスを聞いて落ち着いて判断を(構成=古川美穂)
《 相談 》

毎月の親への仕送りで、自分の将来が不安です

郷里で母が父を介護しています。地元に弟がいますが、彼は昔から家族と非常に折り合いが悪く、20年以上ほぼ音信不通。一応住所はわかるのですが、電話をしても出てくれません。結局、バツイチ独身で身軽な私が、年に何度か帰省して親の様子を見ているのが現状です。

親が受給しているのは国民年金のみで、貯金を切り崩しながら生活しています。私は小さい会社の正社員として働いており、今のところは月に3万円程度、親に仕送りできています。

ただ帰省にもお金がかかるし、長引く不況で勤務先も業績が悪く、この状態が長く続くと思うと、自分の将来の貯蓄もできず不安です。何か良い工夫はないでしょうか?(56歳・会社員)

●大前提は「親のお金でできる範囲」

何年続くか見通しが立たない状況は、不安ですよね。

一般的に介護にかかるお金は生命保険文化センターの調査による平均の介護期間と費用のデータから、約500万円と試算できます。そのうち施設の入所費や自宅のリフォームなど一時的な費用は平均約80万円で、毎月かかる費用が7〜8万円。ただしこれはあくまで目安であり、実際はケースバイケースです。

施設に入るときの入所一時金などまとまった負担が大変だというイメージを持つ方が多いようですが、むしろ毎月の出費がじわじわ何年も続くほうが大きいのは間違いありません。

あなたは毎月仕送りをされ、親御さん思いの立派な方です。ただご自身の老後の資金のことなど考えると、なるべく貯蓄しておきたいところ。

介護は、経済的にはある程度割り切って、親のお金でできる範囲のことをするのが大前提。まずはご両親の貯金がいくらあるのか、確認してみましょう。将来の休眠口座を作らないためにも、通帳を一つにまとめるのもおすすめです。

そのうえで、節約できるものを探してみる。スポーツジムの会費や、不要な保険、サプリメントの定期購入費がそのままになっていた……という例はよく聞きます。