イラスト:山本祐布子
深夜に光るLINEの着信通知。15年の付き合いになるママ友たちと交わすメッセージはーー。女優の鈴木保奈美さんが『婦人公論』で連載しているエッセイ「獅子座、A型、丙午。」より、珠玉の一編を配信します。

深夜のハッピーアイスクリーム

23時を少し過ぎ、てっぺん回る前に寝ましょ、と思い始めた頃、LINEの着信通知が光る。

「義理のお父さんが入院して、このひと月病院通い。ストレスたまってるよ」「あら大変」「お悪いの?」「大丈夫なんだけど、こっちがパンパン」「わかる」「お疲れだね」「がんばれ」「よしっ元気付けに焼き鳥屋さん行こう」

うちの子供達が幼稚園の頃、お迎えで一緒になったママ友6人のグループLINEだ。かれこれ15年艱難辛苦をともにしてきた友。ママ友、って記号はほんとはあんまり好きじゃない。なんだか十把一絡げじゃない? それぞれの少女時代があって、学生やって大人になって、ものすごいキャリアがあったり大恋愛の末に結婚したり、一人ずつに壮大なストーリーがある。

専業主婦をしているのがもったいないほどのスキルも持ってるのに、記号で呼ぶと、とたんに顔のないのっぺりした存在になってしまう。そうしてお気楽な集団にも見えるかもしれない。都会に住んで、子供を私立の学校に行かせて、ネイルなんかも綺麗にしちゃってる女たち。

でもね。彼女のお義父さんが入院するのはこれで三度めだし、別の一人は実のお父さんを亡くしたばかりだし、一人は受験生を抱えて夫は単身赴任、一人は実家と折り合いが悪い。主婦、OL、女子大生、とラベルを貼られてきた世代だけど、一人ずつに事情はある。