71歳になってから、新たな資格を取ったわけは

自分はいつまで働くのだろうと考えたとき、ふと目に浮かぶ一つの光景があります。私は母と父を合わせて20年介護しました。最後に父は近くの有料老人ホームに入ったのですが、そこで食事介助をしてくれたのが父と同年代の80代の女性だったんですね。高齢者は食事に時間がかかるのに、介護保険だと食事介助に使える時間は30分。それでは終わらないので、ホームでは彼女のようなアルバイトを入れてゆっくりご飯を食べさせてくれていたのです。

移住の前に私は、『100歳時代の新しい介護哲学』というインタビュー集を仲間と出版しました。その取材で知り合った介護職の人たちが私の家に遊びに来るうちに、那須を気に入って。なんと移住して訪問介護ステーションを起業しようとしています。もともと高齢化が進んでいたうえに、別荘地にリタイア世代が移住して高齢者が増え続けていますから、ビジネスチャンスというわけね。

私も去年、資格の学校に通って「介護職員初任者研修(旧・ホームヘルパー2級)」を取りました。父に寄り添ってくれた女性のように、80を過ぎてもできることがあれば友人の介護事業を手伝おうと考えています。