Q. 拡大を防ぐには何が必要ですか? 行動変容で足りないことはありますか

流行が拡大する中で個々の行動変容で足りないか、という問いだとすると、それは大変難しい話です。行動変容が大事かどうかは、流行が大きくなってきたときに盛んに問うべきことなのか、僕にはわかりません。流行が大きくなってきたら、そこで政策も流行の見方もある程度スイッチしなければなりません。

マスク会食だとか、手洗いをしっかりしましょうとか、最終的には国民の努力や良心に頼ったやり方というのを見直さなければならない時期というのがあります。10月末から11月にかけて、その時期は一時的に明確に過ぎていたと思います。そんな中でも、専門家が直言しないと誰も動かなかった。これはきつかった。また、専門家に言わせていたのです。

感染者数が増えた中での行動変容というのは、どちらかというと個人の努力でできるものに頼るのではなく、ちゃんと政策として責任をもって接触を削減する方法をとらないといけませんでした。

特定の場や環境で伝播が起こっていて、その場での伝播を効率的に接触削減できるのならば、その場に限定して伝播が起こっている間に、範囲を絞った接触削減をできるだけ早期にやらないといけない状況だったと思います。結果的には、札幌でみられるように広範な場での伝播へと発展してしまい、医療施設や介護施設で伝播が認められたわけです。
「WHO(世界保健機構)に関連する専門家の会合でも、『日本の開放のスピードは、なぜこんなに速いの?』と聞かれました。経済的ダメージの圧力に屈した人為的な形で、速く次の流行に突入したと考えています」

Q. ヨーロッパ諸国はまだ「第2波」の中で、いま日本が「第3波」に襲われているのはどうしてですか?

5月下旬、緊急事態宣言が解除された後、日本の「緩和」の速度は諸外国と比較してもとても速かったです。それは、国境の開き方、イベントの人数制限、国内のヒトの移動などの各セクターでの緩和のことです。結果として、「第1波」はヨーロッパのほうが先に来たのに、「第2波」はヨーロッパをひと月以上追い越して始まってしまいました。

WHO(世界保健機構)に関連する専門家の会合でも、「日本の開放のスピードは、なぜこんなに速いの?」と聞かれました。経済的ダメージの圧力に屈した人為的な形で、速く次の流行に突入したと考えています。