会員たちは皆、暇なのか他人のことを知りたくて仕方ない。家族構成、年齢、夫の仕事、子どもの婚家のことまで詳しく聞きたがる。どんな小さなことでも探らなくては納得しない。新しく入ると皆この洗礼を受けるので、すぐに退会する人も少なくない。当然、私が仕事を急に辞めた理由も何人もの会員に追及され、説明に長時間を費やすことになった。

Aスポーツクラブも新型コロナの影響で5月までに200人の会員が退会し、100人が休会するなど激変。高齢者が多いためコロナの打撃をまともに受けたのである。一時は閉館のうわさもあったが、なんとか対応策を構じ6月には再開にこぎつけた。

それまで定員のなかったスタジオレッスンは参加人数を17人までに限定し、間隔をとって行われることに。参加者は全員マスク着用。レッスン参加希望者は、開始15分前に受付に番号札を取りに行くのだが、これがまた先着順なので人気のレッスンは番号札をゲットするために列ができるのである。

 

注意されてもお構いなしでおしゃべり

私も番号札をゲットして、格闘技系のエクササイズのレッスンに参加してみた。広いスタジオを2メートル間隔で17人分仕切ってある。レッスンが始まると、音楽が近隣に聞こえないよう窓は閉める。このエクササイズはボクシングのような動作を音楽に乗って行う、いわゆるストレス発散運動。参加者の半数以上はマッチョな男性会員だった。

ボクシングの動作が激しくなってくると、マスクをしているのが息苦しい。隣の男性が汗を飛ばし、ハアハアいう息づかいが聞こえてくる。これでは密閉されたスタジオで、3密どころか17密状態!? ストレス解消なんてとんでもない。感染対策が気になってレッスンに集中できず、一度で懲りた。