スポーツクラブ内の更衣室も、「ロッカーは1つおきに使用のこと」と注意書きが貼ってある。しかし更衣室でマスクもせず大声で話をする女性会員が目立つ。耳が遠いのか話す時間も長く、スタッフに何度注意されてもお構いなし。

一番ひどいのは風呂場。スタッフもここまでは追いかけてこないので、会員たちは会話を控えることはなく、当然マスクもここではしない。エクササイズや水泳には参加せずお風呂だけが目的の「風呂会員」の楽しみは、広い浴室とサウナ、そして人のうわさ話の3点セット。大声で歌い、誰かの背中を流しながら爆笑している。

サウナから嫁の悪口が聞こえてくることも。「全館において会話は極力お控えください」というポスターはまるで目に入っていないよう。私は20年以上このクラブに通い、スポーツを楽しんでいた。会員の派閥やボス的な人との難しい人間関係もそれなりにうまくかわしながら。

でも、クラブ側がいくら感染予防対策をしても会員の自覚なしには成り立つまい。各所に設置された消毒液を手が荒れるという理由で使わない人や、入り口で問診票に記入する体温測定をせず入館する人がいる。有酸素運動マシーンの飛沫防止シートをいつのまにか会員が動かしてしまうことも。子どもでも守れる約束がなぜ守れないのか。

新型コロナが終息するまであと2年くらいはかかりそうだとテレビでは報道されていた。それまでは自分の命は自分で守るしかない。そう腹を決めて10月の初め、スポーツクラブに退会届を提出した。

終息したら、またプールで思いきり泳いでみたい。その日までこのクラブが存続していることをひたすら願っている。


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