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〈発売中の『婦人公論』5月26日号から選り抜き記事を全文掲載!〉新型コロナウイルスの感染が拡大し、外出自粛、在宅勤務を余儀なくされる状況が続いている。そんななか、「コロナ離婚」という言葉を耳にするようになってきた。いきなり離婚に至らずとも、夫婦の間に日々生じる価値観のズレにストレスを募らせている女性は多いのではないか。その現状を取材した(取材・文=玉居子泰子)

「今すぐ服を脱いで風呂に入ってきて!」

4月7日の緊急事態宣言が発令される前日、筆者が暮らす都下のとある地域の小学校では、入学式と始業式が予定通り執り行われた。翌日には、教科書を配るための臨時登校日が予定されていた。

小学生のいるわが家では「今この時期、子どもたちが学校で集合することは感染拡大の危険が高い」という見解が夫婦で共通していたため、すぐに欠席を決めた。子どもたちは残念がっていたが、流行が収まってから元気に会えるようにしようと話すと、なんとかわかってくれた。だがふと思う。「もし夫婦で意見が違っていたら、きっと譲り合えないだろうな」と。

ネットには「コロナ離婚」などという不吉な言葉が流れ始めた。有事において、人は人生を共にするパートナーの姿を再度確かめるものなのかもしれない。取材をしてみるとさまざまな声が聞かれた。

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愛知県に住む40代の主婦ミヤコさん(仮名=以下同)は、日々増えていく感染者数におののく毎日だと言う。8歳と4歳の娘を持つ身として子どもをどう守っていくか、情報を集めるほどに不安になる。

「感染源はあちこちにあると思うと怖くて。スーパーだって危険なはずだし、とても子どもたちを連れて行くことはできません」

休校中の長女はもちろん、次女にも幼稚園を欠席させ、3人で家にとどまっている。一方、メーカー勤務の夫は毎日出勤を続けており、そのことに彼女は不満を募らせている。

「東京ほどではないにしろ、私たちの地域も安心できない。夫はエンジニアなので在宅勤務が可能なはずなんです。でも、会社からの指示がないと、毎日、“三密”のオフィスに通い続けています」

夫自身の体調ももちろん心配だが、子どもたちへの感染も怖い。自宅作業に切り替えられないかと聞くと、夫は、「他の部署は出社しているのに、自分たちだけ勝手にテレワークにすることはできない」と言う。その気持ちは彼女にも理解できる。

「でも今はそんな忖度をしている場合じゃない。最悪、仕事をクビになって経済的に危機になったとしても、命のほうが大切だって思うんです」

先日ついに怒りが爆発した。

「夫が帰宅してすぐ着替えもせずにソファに座って一息ついているのを見て、ゾッとして。『今すぐ服を脱いで風呂に入ってきて!』と言ってしまいました。夫はムッとして、部屋に閉じこもってしまい、その日は家庭内別居状態に。きつい言い方をしたのは反省しています。でも、この状況なのに何でもう少し気をつけてくれないんだろうって……」