イラスト:カワムラナツミ
予期せぬタイミングで、見知らぬ人からしつこく責められる。その衝撃は、後々までしこりを残すことになるかもしれません。木下さん(仮名)の場合は(「読者体験手記」より)

7畳のワンルームで姉との同居

あれは私が大学へ進学した年のこと。志望校に合格し上京した私は、大学近くの賃貸マンションに入居し、これから始まる夢のひとり暮らしに心躍らせていた。ところが、同時に姉が仕事を辞めて東京に出てくると言い出したのだ。無職で高い賃料を払えない姉は、結局、親に面倒を見てもらっている私のマンションに転がり込むことになった。品行方正な姉なら、無軌道な私のお目付役としてちょうどいいという話にでもなったのだろう。

7畳ほどのワンルームで始まった姉妹の生活。置いてあるのは、シングルベッド1台とテレビと洗濯機と冷蔵庫だけ。狭すぎて、それ以上大きな荷物は置けなかった。

とはいえ、大学生活が始まると授業にサークル活動、バイトなどで大忙し。自宅でゆっくりくつろぐこともなかったので、思ったほど不便さは感じなかった。姉もすぐに仕事が見つかり、平日は朝早くから出勤するため、顔を合わせるのは夜だけ。喧嘩をすることもなく、穏やかに暮らしていた。

3ヵ月ほどたった夏のある日、突然、私のPHSに母から連絡が入った。母はすごい剣幕で、「あんた、何してんの!! 勉強もせんと、ゲームばっかりしてるんじゃないわよ!」とまくし立てる。狐につままれたような話で、なぜそんなに怒っているのか理由を聞いた。