御粽司 川端道喜「袴腰」

宮中の年の瀬の慌ただしい情景を
袴の腰板を模した餅であらわす

川端道喜は、長らく御所に餅を納めていた由緒正しい老舗。宮中行事ゆかりの菓子を伝える店として、「道喜さん」と呼ばれ親しまれています。

折々の菓子は、市内のデパートに少しだけ並びますが、それ以外は本店での注文のみ。北山にある店舗は、控えめに暖簾がかかる静かな構えながら、その菓子を求めて、地元はもとより遠方からも客が訪れます。

御所の歳事にまつわる数ある菓子の中で、12月に登場するのが袴腰。台形の白餅に小豆餡が入ったシンプルなものですが、餅肌から透けるこし餡の紫色が美しく、上品な味わいです。

独特の形は、袴の腰板を模しています。年末の大掃除には、公家や男衆だけでなく、女官も袴を穿き、立ち働いたとか。年の瀬の宮中の賑やかなさまをこの形から想像すると楽しくなります。

今年も二日間限定の予約販売ですが、一度は味わってみたい京都の伝統の味です。