老松 北野店「橙糖珠 胡桃律(だいとうじゅ ことうりつ)

平安時代の書『延喜式』に記された
献上菓子のイメージを蘇らせて

蜜漬けの金柑と、乾燥胡桃(くるみ)を、すり蜜でコーティングした菓子。すり蜜とは、砂糖を溶かしたものを時間をかけてすりこぎですり白くしたもの。

金柑は貴重な露地栽培で、陽の光を浴びて育った実は長時間蜜漬けしても形崩れせず、金柑本来の風味が味わえるのが特徴です。胡桃も国産品を丸ごと乾燥させ旨みが凝縮したものを使用しています。

この二つの菓子は現在の当主が45年ほど前に考案したもので、平安時代の法令集『延喜式』の「諸国貢進菓子」の記載から発想を得たといいます。菓子とは果物や木の実であったという史実をよすがに、金柑と胡桃を選び、現代の和菓子として完成させました。

愛らしいすがたかたちもまた魅力の一つ。口に入れると、それぞれの本来の香りがはじけ、追いかけるようにすり蜜の上品な甘みが広がります。

和菓子の歴史に思いを馳せながら、お茶のひとときを。