「今さらこれから同居をと言われたら、私も困ります(笑)」(和泉節子さん)

今風の暮らし方でストレスを回避

和泉家は、元彌さん家族、淳子さん家族、節子さんと藤九郎さん、と3世帯に分かれているが、近くに暮らしている。節子さんが言う。

「毎日、本家の敷舞台に集まりお稽古をして、(コロナ前までは)皆で食事をし、それぞれの家に帰るという生活。昔のしきたりであったら、全員同じ家に暮らしていないといけないですが、今風のやり方で別々の家に。今さらこれから同居をと言われたら、私も困ります(笑)。それぞれが別の家に帰るのが、いいガス抜きになっているのでしょう。淳子の家は近くですけど、ご主人と仲違いをして、実家に帰ってきたことはありません」

それを受けてすかさず淳子さんが「実家までは歩いて1分半ですが、実家のほうがつらそうなので帰りません(笑)」と応酬。

一方元彌さん一家といえば、NHKの朝ドラ『スカーレット』の大家さん役が好評だった羽野晶紀さんは、和泉家でどう過ごしているのか。関西ではレギュラー番組を持ち、多忙を極めると想像する。対面での取材はかなわず、アンケート形式で答えてもらった。

その中で節子さんと二人の義姉に対して「第一印象は、皆様丁寧すぎて、どうしていいのかわかりませんでした。真面目でいらっしゃるな、と尊敬ばかりですね」と書いている。

気になる嫁ぎ先とのつき合い方については、「私は意見もしませんし、誰とも揉めません(笑)。いじめられてもいない(笑)ので仲良くやってこられました」とのお答え。こちらの勘ぐりを見透かされたようで、晶紀さんのユーモアが光る。

さらに「自宅やキッチンは私の領域なので、気楽に作りたい物を作り、食べたい物を食べています」とのこと。ほどよい距離感を持って過ごしているようだ。

一方、節子さんに《お嫁さん》について尋ねると、「晶紀さんは晶紀さん。私の場合は、舅姑に教えを乞い、《和泉流宗家の嫁》以外何もせず生きてきました。だから、若くして夫を亡くしてもやってこられた。でも二十世宗家の妻は元彌が育てるわけですから、口を出しませんよ。後で何が来ようと、自分で背負ってください」と、チクリ。終始にこやかながらも、セッチー節は健在であった。