最後までいかないとわからない
これに対し、元彌さんは「何も悪いことはしてないでしょ?」とすかさずフォロー。「確かに晶紀は母と同じようにできるわけではありません。でも子どもたちは心身ともに健康で、狂言が大好きに育ちましたから、感謝しています。まぁ母も元気なので、晶紀の出る幕がない、とも言えますね(笑)。家族がうまくいっている秘訣としては、母も晶紀も僕を思っていてくれて、僕が蝶番になっているからじゃないかな。でも、本当にうまくいったかは、最後までいかないとわからない」と笑った。
元彌さん家族は、元聖さんの証言によると「とんでもなく仲がいい」らしい。それは呼び名でも見て取れる。「ちゃーちゃん(母・晶紀さんのこと)が僕にガバーッと抱きつくと、采明もトト(元彌さん)もガバーッと来る。多分、友達の家とは違う気がします」
采明さんも「家族といると楽しいです。お父さんは、一緒にアスレチックに行くと、子どもよりも楽しそうにしています。私も楽しいことや、人と接することが大好きになりました」と語ってくれた。
元彌さんも自身のことを「師匠としては厳しく接していますが、家庭では僕が《長男》ですね。なんとか次男にはならないようにしています(笑)」と言う。
節子さんは息子・元彌さんのことをこう分析する。
「人間が丸くて根が明るいです。だから何かあっても立ち直るコツを自分でわかっている」
でもそれは、母譲りなのだろう。節子さんは「私も心の血はたくさん流しました。でもその血を抱えていくことはしないでスカッと切る。抱えていくようになるとうつかノイローゼになる。やめましょう、そんなのは。それがこの世を生きる秘訣です」と笑った。