楽しかったのは、龍馬、五代、弥太郎、伊藤が鍋をつつきながら日本の未来について語り合うシーン。本番の数日前に読み合わせをして、監督が「もうこれで撮れちゃうよ」と言ったくらい、いい雰囲気でね。4人で「希望に満ち溢れた若者の集まりだから、とにかく楽しくやろう」と話し合い、そのままのテンションで本番に臨みました。もちろん一発OKです。あの日は本当に楽しかったな。

物語の終盤、病に倒れた五代は志半ばで世を去ります。しかも「東の渋沢栄一、西の五代友厚」とまで言われた大実業家なのに、亡くなった時には財産どころか借金しか残っていなかった。いっぽうで彼の葬儀には、一般から4000人を超える参列があったと言われています。本当に日本を良くすることだけを考えていた人だったんですね。

──そんな五代友厚を全身全霊で演じきった春馬の生きざまを見てほしいです。僕としては、映画を観た方には「春馬にもう会えないことが悲しい」だけで終わってほしくない。彼がこの役を全力で演じきったことを見届けて、そして彼の意志をきちんと受け取り、一歩前に進む活力にしてもらいたいんです。

春馬はもういないけれど、この作品を知ってもらうために、自分がやれることを春馬のぶんまでやる。そう決意しています。