翔平さん(右)、春馬さん(左)(c)2020「五代友厚」製作委員会

何も言わなくても通じるから

三浦翔平さんは12年前、俳優デビュー作品となったテレビドラマ『ごくせん』で三浦春馬さんと初共演。以来、プライベートでも親しく交流してきた。翔平さんは自身のインスタグラムで、春馬さんの写真とともに、「俺達は一生懸命に生きて、お前の意志を受け継いで、お前が見たかった景色を絶対見せるから」と万感の思いを込めたメッセージを綴っている。

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主人公の五代友厚を演じたのは、僕の友人でもある三浦春馬。当初、僕は龍馬を演じるにあたり、過去に多くの俳優の方が演じてきた龍馬像に引っ張られてしまうかな、と危惧していたんです。でも蓋を開けてみたら、友人としての関係性ができあがっている春馬とやることによって、自然に僕なりの龍馬を演じることができた。これは本当にありがたかったです。

映画の撮影が行われたのは19年の9〜11月。現場での春馬は、全身全霊で五代友厚と向き合い、五代とともに人生を生きているように見えました。とにかく熱量がすごいんですよ。若い頃のとことん無気な才助(友厚の旧名)と、龍馬を失ってからの「なんとしても日本を変えねばならん!」と鬼気迫る友厚との演じ分けも見事でしたしね。

僕は物語の後半までは一緒にいられなかったので、全容は完成後に観たのですが、五代の晩年を全力で演じきった春馬の迫力はすごかった! 圧巻の一言でした。

思い出深いシーンとして頭に浮かぶのは、龍馬と五代が船の甲板の上で「日本の夜明けだ」と語り合う場面です。春馬と事前に何度も読み合わせをしましたが、いざ本番の声がかかるまで、いっさい言葉を交わさなかった。その、何も言わなくても通じる空気感が、本当に心地よくて。やっぱり俺たちの志は一緒だよな。日本を変えていこうぜ! というようなやり取りにしても、2人の近さがよく出ているなあって。あれは一生記憶に残るシーンになったと思います。