(イラスト:楽谷玲子)
手は常に何かに触れ、酷使する部位。ケアをしている人と、そうでない人とでは肌に大きな差が出ます。乾燥による手荒れが気になるこれからの季節、年齢を感じさせない手元のためのケア方法を皮膚科医に聞きました。今回は手指のケア方法です。(構成=吉川明子 イラスト=楽谷玲子)

皮脂腺が少なく紫外線の影響も大

寒い時期に起こりやすい手荒れ。特に今年は新型コロナウイルス感染症予防のために消毒液を使う機会が増えて、いつも以上に乾燥が気になっている人が多いのではないでしょうか。手荒れの原因をお話しする前に、まずは皮膚の構造と潤いのメカニズムについて説明しましょう。

全身の皮膚は、外気に触れる一番外側から表皮、真皮、皮下組織と呼ばれる3層と、汗腺、皮脂腺、毛などの付属器官で構成されています。

●皮膚の構造(図解)
表皮は肌の一番外側にあり、外部からの異物侵入や体の水分蒸散を防ぐ働きがある。厚さは約0.2ミリ。真皮は肌組織の大部分を占め、血管やリンパ管、汗腺などもある。厚さは約2ミリ

この中で潤いと密接に関係しているのが、表皮の部分です。皮脂腺から分泌される皮脂が、汗などと混じり合い、一番外側の皮脂膜となって水分の蒸発を防ぎ、ホコリや細菌などから体を守っています。ただし、手の甲は顔などに比べて皮脂腺が少なく、手のひらにいたっては皮脂腺がありません。

もう一つ、潤いにとってカギとなるのが角質層。角質細胞同士の隙間を埋めている角質細胞間脂質と、角質細胞内で水分を保持する役割を担う天然保湿因子(NMF)がきちんと産生されていれば、水分をしっかり抱え込み、肌の潤いをキープできるのです。

角質層の厚さは体の部位によって異なりますが、顔は10層ほど。手の甲は14~15層、手のひらや指先は50層くらいあるため、手の皮膚は体の中でも丈夫なほうだといえるでしょう。