人呼んで「頭の上に雨雲を載せた女」

極めつきは自他ともに認める雨女っぷり。幼稚園から高校まで、行事の記憶はほとんどグレーの世界だった。

それからの40年も、抜けるような青空での行楽は、晴れ男と結婚していた間だけ。しかも、あちらひとりなら雨の予報は外れ台風も逸れるのに、私は台風や大雨に見舞われる。夫婦で1泊2日ならやっと1日晴れ。神様、この勝率は何でしょうか。

晴れの予報で布団を干そうとベランダに出ると一転にわかにかき曇り、引っ込めばぴかーっと晴れ渡る。玄関のドアを開けて天気を確認し、数歩歩いて自転車置き場に着いたとたん、雨が降り出す。徒歩に変更しスーパーに向かうと晴天に。まるで空と私の化かし合いだ。

友人曰く、私は「頭の上に雨雲を載せた女」らしい。

とある炎暑の昼下がり、電器店に出かけた帰り、人っ子ひとりいない屋外駐輪場に出たら、私の自転車のサドルにヘビー級の雨粒がひとつ、ふたつ。と思う間もなく前代未聞のゲリラ豪雨に発展した。

天からのビンタのような雨攻撃に目を開けることもままならず、雨宿り場所を探すこともできぬまま、必死の形相で立ちこぎすること7、8分。息も絶え絶えようやくわが家の門扉までたどり着き、ピンポンを押せば、出迎えた娘たちはバカ笑い。

プールに2度突き落とされたような哀れな姿で立ち尽くす母の頭上には、虹がかかるほどの青空が広がっていた。娘たちは雨が降ったことに気づきもしなかったという。局所的なゲリラ豪雨にピンポイントで狙い撃ちされたらしい。

空にかかる虹を見あげ、狐につままれたような気分になった。