結婚に救いを求めた私を待っていたのは

周囲には私に負けず劣らずツイていない人が何人もいるが、そのパートナーはたいてい運の強い人だ。でこぼこコンビなのはなぜ? 私の人生の命題だ。

別れた夫も、運の強さにおいては右に出る者ナシ。痛い目や嫌な目に遭っているところなど、ついぞ見たことがない。夢を見て寝ながら声をあげて笑っていることもしばしば。悪夢にうなされがちな私は、この差にもうなだれたものだ。

趣味で1年の半分近くを世界中旅していた元夫は、自分の母親が危篤でも、すでに予約しているからと1週間の海外旅行を予定通りにこなした。夫が帰国して2日後に義母は亡くなり、何事もなかったかのよう喪主を務める。旅行決行の理由は「俺がいたって何もできないだろ」。酸素マスクをつけた姑とともに残された私の心労は、「またしても貧乏くじ」ですまされるレベルではなかった。

もともと私は強烈な毒母のもとに生まれ、社会に出るまでの記憶はすべて暗褐色。だから、元の夫、すなわち外ヅラ完璧さわやか男性との出会いは、起死回生のチャンスに思えたのかもしれない。

2年の交際中、多少はあった違和感に片目をつぶって結婚したのが運の尽き。新婚旅行から帰った翌日から始まったモラハラ活動は、24時間365日×三十数年間、容赦なく繰り広げられた。やれ床に水滴が落ちているとか、椅子が食卓からはみ出ているとか、細かなミスを猛烈な勢いで責するのだ。