大きなきっかけになったのが、NHKの朝ドラ『あさが来た』に、ヒロインの娘役として出演したこと。14歳から34歳まで、ひとりの女性の人生をじっくり演じたことで、私自身も女優として成長できたのかもしれません。

デビューして今年で10年目。こうして大きな役を任せていただけるようになったのも、周囲の方々とのご縁を大切にしながら積み重ねてきたことが、実を結び始めたからなのでしょうか。ほかの方から見たら、私の《一歩》は本当に小さなものだったかもしれません。でも、それらがすべてつながって今の自分があるのだと、あらためて実感しているところです。

スケートと女優の両立に悩んで

目標を達成するために、地道に努力や経験を積み重ねる――その姿勢は、芸能界に入る前、私がフィギュアスケートに熱中していた時代に学んだものです。習い始めたのは小学校3年生のとき。荒川静香選手がトリノオリンピックで金メダルを獲得して、興味を持ったのがきっかけです。

「勉強でもスポーツでもなんでもいいから、何か1つ熱中できるものを見つけなさい」というのが、母の教育方針でした。それまでも空手やバレエ、器械体操などを習っていたのですが、どれも続かなくて。そのなかで、フィギュアスケートだけは夢中になって、中学2年生で芸能界に入るまでずっと続けていました。

当時は、「次の試合までに、あのジャンプを跳べるようになろう」「今度の試合では今より順位を上げよう」など、その時々で目標を決め、それに向かってコツコツと練習する日々でしたね。週6日、まだ星が出ている早朝に家を出て、スケートリンクで滑る。そしてそのまま学校へ行き、放課後に再び練習――。そんな生活が丸5年間続きました。

もうやめたい、友達と遊びに行きたい、と思ったこともあります。でも、「シングルアクセルが跳べるようになったから、次はダブルアクセルを跳びたい」と、目標をクリアしたら、すぐに次の欲が出てくる。私、とても欲張りな性格なんです(笑)。だから、ハードな毎日でもくじけずにいられたのだと思います。