BTSのおかげで、落ち込む暇もないくらい
また、「BTSは芸術作品です」と力説するのは、田辺香さん(73歳・仮名)。3年前にBTSにハマり、彼らの出ているバラエティ番組をすべてチェックしている。
「彼らは歌、ダンス、演技のレベルがとにかく高い。SNSには、情報も動画も見きれないくらいある。昨年はコロナで暗い一年でしたが、BTSのおかげで、落ち込む暇もないくらい充実した時間を過ごすことができました」
お気に入りのナンバーは「DOPE」と「IDOL」。「ブルートゥースで音を飛ばし、毎日ワイヤレスイヤホンで聴きながら家事をしています」と話す。もはやBTSは、彼女の生活の一部になっている。
一方、BTSの歌詞に注目しているのは、詩人・エッセイストの白石公子さん(60歳)だ。白石さんが心を動かされたのは、作詞作曲にメンバーが関わっている「Anpanman」という楽曲。「世界を守るヒーローになりたい、でも挫折して君たちを失望させるのが怖い」という内容だ。
「アイドルが、自らアイドルの苦悩を歌っているんです。どうしたらこんな歌詞が書けるのかと、胸を揺さぶられる思いがしました。日本にはないアイドル像ですよね。それに《プロのアイドル》とでも言うのでしょうか、浮ついた言動が一切ないため、安心して応援できる(笑)。どこか懐かしい、少女まんが的なロマンを感じさせるたたずまいも好きですね」
最近では、彼らのミュージックビデオを見てモチベーションを上げてから、仕事に取り掛かるのが日課になっている白石さん。「BTSに出会ってから毎日が楽しい」と、笑顔で話してくれた。