反対に、一足飛びで「真っ当な道」に戻ることを無理強いしてもダメ。子どもは社会の中でもみくちゃになりながら、必死に頑張った挙げ句、疲れ果てています。すぐにも大学に復帰するべき、正社員になるべき、などとは考えないことです。引きこもりがちでも趣味のためには外出ができるというなら黙って見守って。家庭内では家事を分担して役割を持たせるなど、一歩一歩立ち直っていくための伴走者になってあげてください。
影響は一生涯続くと考えて
子どものものとばかり思われていた発達障害が、実は社会に出てからも、家庭や職場で問題になることが世の中に知られてきました。歳を取って怒りっぽくなり、物忘れがひどくなってきた高齢者の中にも、ベースに発達障害がある人は一定程度いると考えられています。ただ、今はようやく大人の発達障害が研究されるようになった段階で、まだ高齢者にまでは手が回らないというのが実情です。
発達障害は生まれつきの特性に端を発しているので、その影響は一生涯続きます。しかし、薬物療法や心理療法、環境の調整など、できることはたくさんある。発達障害の症状や困難は人それぞれです。悩んでいる人は、ためらうことなく医療機関や支援機関にコンタクトを取ってほしいと思います。