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新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてそろそろ1年が経つが、社会の片隅で困窮を極めている女性たちがいる。「病や感染は平等」でも、その暮らしへの影響はけっして同じではない。新しい道を模索する彼女たちの選択を追った。今回は夫の暴力に苦しみ、シェルターに逃げ込んだ女性に話を聞いた(取材・文=樋田敦子)

シェルターに逃げた女性にも給付金を

感染拡大の影響で家族が家にいることが多くなり、懸念されたのはDVや虐待の増加だ。NPO法人・全国女性シェルターネット(北仲千里共同代表)は、2020年3月30日付で、「新型コロナウイルス対策状況下におけるDV・児童虐待防止に関する要望書」を総理大臣らに送った。

「緊急の状況下においてもDVや虐待の相談窓口は閉じないでほしい」「経済困窮に陥る母子家庭など、低所得者への救済策などとして一時給付金を導入する場合、住民票を移さないまま逃げている母子が金を受け取れない可能性があるので、個人単位で給付されるべき」「世帯主でなくても、DVの相談証明がある人などが申請した場合、援助金を給付する措置をとってほしい」といった内容を盛り込んだ。

「世帯主ではなく個人で受給することは認められませんでしたが、多くの要望が受け入れられ、与野党問わず政治家の反応も早く、ジェンダーの視点によるコロナ対策につながりました」(北仲代表)

家を出ることができず家庭内別居中の女性や、親や親族から性暴力を受けている女性の相談も相次いだ。配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は、20年4月だけで1万3272件と、前年同月比で、3割増。また4月20日から開設され、24時間態勢で相談を受け付ける「DV相談+(プラス)」にも1ヵ月で約4400件相談があった。