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ログイン「家賃を払い終えたら、1ヵ月持つか」
そしてコロナ感染が拡大する20年3月末、1万円だけ入った財布を持って次男と家を飛び出した。警察にもDV被害を報告し、シェルターに身を寄せた。そこに2週間ほど滞在し、アパートを探す。実家滞在も考えたが、親と折り合いが悪く戻りにくい。
以前の勤務先の社長などから借りて工面した60万円は、アパートを借り、最低限の生活必需品等をそろえると、15万円しか残らなかった。当時は無職。「家賃を払い終えたら、1ヵ月持つか」と不安だった。
そこへ特別給付金が一律10万円支払われると報道された。
「世帯主の夫に入金されるので、私には無理だとあきらめていたのです。すると、DVが原因でシェルターに滞在していたことを示す保護証明書を提出すれば受給できると聞いて。その証明書を持って役所に行くと、なんら問題なく受理してもらえました」
6月に通帳に20万円の数字を見たとき、「あと2、3ヵ月はなんとかいける」と感じた。
5月末に登録した派遣会社から連絡があり、勤務先が決まった。時給1060円で、月〜金のフルタイム勤務。やりくりすれば2人で暮らしていける。給与支給は7月からだったが、なんとかなる。
「コロナは私に家を出るタイミングを与えてくれた。給付金もいい追い風になったと思います」
山本さんは給付金がスムーズに入ったケースだが、世帯主または住民基本台帳に登録のあることなどの給付要件がネックになり、申請できなかった女性もいるはずだ。
