お笑いの仕事だけでなく、俳優・エッセイストとしても忙しい毎日を送る青木さん。『Nスタ』ゲストコメンテーターも務めています。今回は「人知れず美味しいシャケにこだわり、愛している人として」を綴ります。
ママんちの「シャケ」が美味しい
先日娘との会話で感動し、何度も噛み締め頭の中でループしているできごと。
「ママんちのさ」
わたしが運転する車で、後部座席に乗っている高2の娘が話しかけてきた。
助手席には荷物が多すぎて、娘は後部座席に乗ることが多い。
仕事がない日は駅まで送り迎えをしているわたしだ、偉い!
「ママんちじゃなくて、うちでしょう?人聞きの悪い、うちと言っていただきたいです」
「ママんちのさ」
無視
「ママんちの、シャケ」
「なに?」
「鮭」
「魚のシャケね、なに?うちのシャケがなんでしょう」
「美味しいね、すごく!」
「え?」
「シャケって色んなとこで出るじゃん?パパんちとか、友だちんちとかおばあちゃんちとか、ホテルとか」
「はい」
「ママんちのシャケが美味しくて、他のシャケが同じ魚だと思えない」
「もう一度、言ってください」
「は?」
「要するに、うちのシャケがあまりにも美味しいということですね?」
「まあ、そう。なんで?」
「なんで、うちのシャケが美味しいかということですか?」
「うん」
「どうして、うちのシャケがふっくらとして塩味もちょうど良いのか、ということですか?」
「そう」
本連載をもとに青木さんが書いた初の小説『母』(中央公論新社刊)
