青木さやか
(写真提供◎青木さん 以下すべて)
お笑いの仕事だけでなく、俳優・エッセイストとしても忙しい毎日を送る青木さん。『Nスタ』ゲストコメンテーターも務めています。今回は「人知れず美味しいシャケにこだわり、愛している人として」を綴ります。

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ママんちの「シャケ」が美味しい

先日娘との会話で感動し、何度も噛み締め頭の中でループしているできごと。

「ママんちのさ」
わたしが運転する車で、後部座席に乗っている高2の娘が話しかけてきた。
助手席には荷物が多すぎて、娘は後部座席に乗ることが多い。
仕事がない日は駅まで送り迎えをしているわたしだ、偉い!

「ママんちじゃなくて、うちでしょう?人聞きの悪い、うちと言っていただきたいです」

「ママんちのさ」

無視

「ママんちの、シャケ」

「なに?」

「鮭」

「魚のシャケね、なに?うちのシャケがなんでしょう」

「美味しいね、すごく!」

「え?」

「シャケって色んなとこで出るじゃん?パパんちとか、友だちんちとかおばあちゃんちとか、ホテルとか」

「はい」

「ママんちのシャケが美味しくて、他のシャケが同じ魚だと思えない」

「もう一度、言ってください」

「は?」

「要するに、うちのシャケがあまりにも美味しいということですね?」

「まあ、そう。なんで?」

「なんで、うちのシャケが美味しいかということですか?」

「うん」

「どうして、うちのシャケがふっくらとして塩味もちょうど良いのか、ということですか?」

「そう」

小説『母』
本連載をもとに青木さんが書いた初の小説『母』(中央公論新社刊)