薬剤師さんを味方につけて

先日、いいことがひらめいた。夫には、主治医の先生以上に信頼を置く、薬局の男性がいる。この薬剤師さんの話だけはきちんと聞いて守っているようだ。そこで、私ひとりで薬局を訪れ、「今度夫が来たら、歩いたり有酸素運動をするように勧めてもらえないでしょうか。食べすぎにも気をつけるようにそれとなく話してほしい」と、恥を忍んでお願いしてきた。

その日の午後、夫と一緒に薬を取りに行き、私が車のなかで待っていると、30分後、ニコニコしながら夫が出てきた。夫いわく、とても親身になってくれるいい薬剤師さんで、薬のことのみならず生活習慣についてもアドバイスをしてくれた、とのこと。「明日からやってみるかな?」とまで言っている。

次の日、仕事から帰宅すると、義母から「今日はめずらしく散歩に出かけたようだよ」と聞いて、心のなかでガッツポーズ。このまま夫が薬剤師さんの言うことを聞き、少しでも手が離れるといいのだが……。

夫婦のかたちはいろいろあるけれど、ここまできてしまったら後戻りはできない。ひとりでは何もできない夫。私の人生のお荷物ではあるが、あいつが大いばりしているのも私のおかげだと思えば、少しは溜飲が下がる気がする。


※婦人公論では「読者体験手記」を随時募集しています。

現在募集中のテーマはこちら

アンケート・投稿欄へ