イラスト:クボ桂汰
これまで一所懸命貯めたお金で旅行をしたり、趣味に没頭したり……そんな老後の青写真を台無しにしたのは「夫」という存在? 自業自得で体調を崩し、職も失ったのにワガママ放題の夫。妻はその扱いに手を焼いてーー(「読者体験手記」より)

結婚してからわかった夫の正体

60歳を目前に体調を崩し、自宅療養1年半、そして今年7月に傷病手当金支給も終わり、会社を辞めたわが夫、現在62歳。私はこの夫に縛られて生きている。

1歳年上の彼と一緒になったのは、私が19歳のときだった。若い頃はハンサムで、建築関係の職人をしていた彼。一緒になってからわかったのは、賭け事にうつつを抜かし、言葉遣いは乱暴で、いつも自分が一番でないと気に入らないい嘘つき男だということ。50歳を過ぎてバブルが弾けると仕事が激減し、タクシー運転手に鞍替えした。そして、今は無職。賭け事で作った借金もある。

体調を崩したのは、若い頃からの暴飲暴食がたたり、糖尿病を患ったためだ。合併症のため片眼はほぼ失明、もう片方も治療中で、血圧も高く、腎臓の数値が悪いため、人工透析一歩手前。借金もまだ500万円近く残っている。夫のわずかな年金と、私と息子の収入から、毎月返済している状態だ。

60過ぎたらもっとラクできると思っていたのに……。私の年金もパートの稼ぎも、すべて借金返済と生活費に消え、自由になるお金はまったくない。

そのうえ、パートが休みの日にどこかへ出かけようとすると、「オレも行く」と夫がついてくる。目が見えないので、私を運転手代わりに使っているのだ。黙って乗っているならかわいげもあるが、「車間距離をとれ」「右だと言っただろう!」と、助手席からあれこれ偉そうに命令してくる。このままスピードを出して事故でも起こしてやろうかと思うこともたびたび。