全部わが身に返ってきた

濱口 自分が先輩と呼ばれる年齢になるにつれて、「あ、先輩からは全部丸見えやったんやな」というのがわかるようになってきましたね。若手が集まって挨拶するとき、前方の子たちは大声で「おはようございまーす!」って言うじゃないですか。奥の子は口だけ動かしてたりするんです。自分もだいぶ奥にいるほうでしたから。

清水 若手にジェネレーションギャップを感じることはある? 第7世代くらいの年齢だと、「お腹いっぱいなんで」って言いそう。

有野 若手は、車に乗りこむとまずスマホを触りますね。「ここ、みんなでしゃべりたいとこだけどなあ」って思うことはあって、コミュニケーションの場が少なくなってる感じはしています。

清水 「お前、スマホ見てないで、俺としゃべれよ」なんて注意しにくいしね。

有野 そんな寂しがりやの先輩、こわいですよ。(笑)

濱口 自分らがやってきたことが、いまになって全部返ってきてるのかもしれないです。やっぱり挨拶してくれへんかったら寂しいですし、楽屋にきてくれたら素直に嬉しい。「ああ、ええ子らやん」って思います。「あれ、いまあの先輩には挨拶したのに、僕のこと素通りした?」って気になりますもん。

清水 わかる。自分が挨拶する側だと「煩わしくないかな」とか考えちゃうけど、される側になると嬉しいものなんだよね。

濱口 歳の離れた師匠もこわいわけじゃない。あるとき気づいたんです。「別に僕の話せんでええねや」って。大先輩のお話は聞いてるだけでいい。いまはなるべく横に座るように心がけてます。

清水 処世術!

有野 すごいな、と思うのは、どんな先輩でも横に行くと、「どうぞ」って言ってくれること。新幹線で「横いいですか」って聞くと、「おお、ええよ。どうした?」って絶対言ってもらえる。だから、なんでもない質問をずっとぶつけてます。で、機嫌ようしゃべってはるから、「話長いですね」って言ったら怒られましたけど。

濱口 ま、最終的に怒られるっていうところは、ずっと変わりないですね。(笑)

〈後編につづく


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