おしゃべりをしながら縫い、途中、誰かが持ってきたお菓子をつまみながら、お茶を飲んで休憩する…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは千葉県の70代の方からのお便り。マンションのお隣さんから一緒にお裁縫をしないかと誘われ、顔を出してみると――。

お裁縫で広がる世界

夫を亡くして10年。前々からマンションのお隣さんに、一緒にお裁縫をしないかとお誘いを受けていた。90歳でひとり暮らしの彼女は、近所に住む70代の2人に、着物の生地を使った縫い物を教えているのだそうだ。私は長く体調を崩していたのでお断りしていたが、調子が上向いてきたのを機に、顔を出した。

3人は素敵な巾着を作っており、私も自宅の桐ダンスにある母の着物を使って、挑戦してみることにした。

お裁縫をするのは、2時間ほど。おしゃべりをしながら縫い、途中、誰かが持ってきたお菓子をつまみながら、お茶を飲んで休憩する。みなさんのんびり楽しんでいるが、不器用な私は生地に型紙の線を引くのも難しく、情けなくもそれだけで2時間が終わってしまう。

また、みなさんは複数枚の生地をきれいに縫い合わせている。どれも私にはハードルが高すぎるように感じた。布をまっすぐ切るのさえも大変なので、シンプルに1枚の布で巾着を作ってみることに。

紐の結び目の先に「チューリップ」と呼ばれる2センチほどの飾りを付ければできあがり。みなさんから教わりながら、どうにか仕上げる。せっかくだから施設にいる義理の叔母にプレゼントしようと決めた。気に入ってくれるだろうか。

次は自分用のものを、と再び巾着を製作中。これが終わったら浴衣の生地でズボン作りに挑戦しよう、と作りたいものが浮かんできて、私の新しい世界が広がり始めている。

この集まりに名前はついていないが、私は勝手に「お裁縫教室」と呼ぶ。都合が悪く行けない時は、「お裁縫教室お休みします」と連絡するのだ。

ひとり暮らしには慣れきっているが、1日誰とも会わない、会話をしないという日が多々ある。私にとってこのお裁縫教室は人と交流でき、他愛ない話ができるありがたい時間なのだ。


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