無駄口を叩かないし、冗談も口にしない
佐々木 今回撮影でずっと一緒にいたけど、あまり話をしなかったよね。休憩時間でカメラが回っていないときも、西島くんは無駄口を叩かないし、冗談も口にしない。ただ穏やか〜にそこにいる。
西島 蔵之介さんだってずっとそうでしたよ。今回は外にほぼ出られない状態で、休憩中も衣装のまま、暗いセットの中に座っているしかないのが大変でした。
佐々木 あれは監督とカメラマンの狙い(笑)。リラックスして談笑させたくなかった。
西島 カメラマンが一日中カメラを背負って撮っていたから、トイレ休憩もなかなかとれない(笑)。緊張感が保たれていましたよね。
佐々木 それもあって、この映画について話し合うのは、今日がほとんど初めて。
西島 そうですよね。いつも、一人で台本を読むときには、「あの人はこの役をこんなふうに演じるだろう」と、なんとなくイメージをするんですけど、たいていいい意味で覆される。今回も、「いぶき」をめぐる人たちの関係が、単純な対立でもなく、ピラミッド型の組織でもない、志を同じくする「仲間」であるという意識が表れたものになっていると思います。
佐々木 うん。撮影中は「いぶき」以外の潜水艦や護衛艦、イージス艦に乗っている人とまったく顔を合わせなかったけど、完成段階の試写を見てびっくりしたなあ。各艦のカラーがくっきり表れていて。
西島 台本に書いてある以上のことが役作りで決まり、艦のカラーも決まっていく。面白いですよね。
佐々木 政府関連の人々、一般の人々、報道記者たちなどのパートが、完成試写を見て初めて、「なるほど、こうつながったのか」と。
西島 改めて監督の言っていた「これは平和のための映画である」という言葉を、強く実感できました。
佐々木 当たり前の日常がかけがえのないものだと、僕らも考えさせられたよね。
西島 たしかにそうですね。