「目がかすみ、トイレに起きるようになって、私は「やっとおばさんになれた」と感じました。これからは、おばさんをわが手に取り戻したいです」(ジェーン・スーさん)

スー 細かく刻みますけど、42歳です。やる気はあるのに、パソコンの画面に焦点が合わなくなって、「これがかすみ目か! これが老眼か!」と実感したのがその頃なので。ほかにも夜中にトイレに行きたくて目が覚めるとか、肉体的にリアルな老化が起こり始めて「ついにおばさんになったなあ」と。

松任谷 老化というにはまだ早すぎるでしょう。

スー 人生折り返し地点というか、「この先自分は確実に死ぬな」と初めて実感できたんです。

松任谷 僕はリアリティがないな。まだまだ自分は死なない感じがする。まあ、イマジネーション不足ともいえるけれど。(笑)

 

自他ともに認める「おばさん」に

スー 松任谷さんと同じく、10代が終わる時に私も「もう若くない、おばさんだ」と思いました。今考えると何言ってんだって話ですが。30歳前後になると、「おばさん」と呼ばれることにピリピリする人も、受け入れる人も出てきて、でも30代は偽陽性です(笑)。真のおばさんではない。目がかすみ、トイレに起きるようになって、私は「やっとおばさんになれた」と感じました。これからは、おばさんをわが手に取り戻したいです。

松任谷 取り戻す?

スー 自他ともに認める「おばさん」の立場を獲得した感覚でしょうか。これからは立場や意味をどんどん昇華して、かっこよく育てていきたい。

松任谷 おばさんという立場は、どういう使い途があるんですか。