大切なのは決定までのプロセス

清水 為末さんは、私みたいな人に「オリンピック、どうなるんですか」って、ずっと聞かれ続けてるんでしょうね。(笑)

為末 僕の知りうる情報は、テレビから入ってくる情報と大して変わらないです(笑)。わかることと言えば、選手の立場くらいかな。

齋藤 コロナによって、刻一刻と状況が変化してるでしょう。Go To事業もそうですが、その都度、明確な判断を求められるので、これは滅多にないケーススタディになるでしょうね。実は昨年改訂された学習指導要領で、思考・判断・表現の力が問われる「新しい学力」が実施されてるんです。国じゅうで学習が行われていると思えば、コロナを乗り越えた先に、違う未来が開けているかもしれません。

為末 森さんの後任人事もそうですが、そろそろ「どういうプロセスで決まったか」を見せられるシステムに移行してほしいですね。悪気がないことはわかっていても、決まった結果をあとで説明されるのではなく、「みんなで決めた」結果が東京オリンピックに繋がるといいな、と思っていて。

齋藤 これからは、ますます可視化や透明性の重要性が求められるようになるでしょうね。

為末 昔は、選手選考もオープンではなかったんですよ。僕らは結果を受け取るだけで、「あなたが代表です」って落ちてくるイメージだった。いまは選考基準も明らかにされているし、プロセスも比較的オープンになってきました。

清水 基準が最初に提示されていないと、不安になりそう。

為末 不安な選手がどうなるかと言うと、「あの人が決めてるんじゃないか」っていう噂が出て、その人と仲良くなろうとする(笑)。演技による競技とかだと、正直基準がわかりにくいじゃないですか。

清水 それで、勘ぐりがはじまる。

為末 この何年かで、どんどん勘ぐりが減ってきているのは、いいことだなと思います。