人生一番の大げんかで、思いがけないひと言が
ともこ やすよは何しろ人づきあいをしない。ネタを作らない。泊まりの仕事はいやがる。人一倍、心配性。マネージャーに電話番号も住所も教えない。私が全部、やってたから。
やすよ うんうん。
ともこ 他人同士のコンビやったら無理やったかもね。姉妹で、昔からそういう子やとわかってたから「しょうがないよな」と思っててん。でもある時、けんかになって。
やすよ あれは人生で一番の大げんかやったね。きっかけは仕事の話やけど、はっきり覚えてへん。
ともこ ささいなことやけど、言わんでもいいのに「あんたは昔からそうやった」と過去の話まで持ち出すからね。姉妹やから遠慮がなくて、家に帰ってもまだ電話で罵り合い。
やすよ それで旦那が「どうなってるの」と。話したら「謝ったほうがええんちゃうか」と言われて、お姉ちゃんの家に連れて行かれた。
ともこ 旦那さんが「やすよがすみません」と謝ってる横で、あんたは「私は謝りませんっ」ていう顔してたけどな(笑)。でもその後、「私って、すごく性格悪かったよね」と言うた時はびっくりした。
やすよ 私、結婚してからわかってん。お姉ちゃんにどれだけいろんなことをやらせてたのか。
ともこ 旦那さんは野球選手(元オリックス・バファローズの宮本大輔さん)で、すごい努力をしてきたし、純粋な部分も持ってる人。そういう人と一緒になって、自分を振り返ったんやね。「彼を見てたら『世の中にこんなにいい人がおるんや』と思った。それに比べて私は……」と言うた時、内心「やった!」とガッツポーズしたよ。
やすよ それからは人づきあいもするし、お姉ちゃんに任せてた打ち合わせなどをできるだけ引き取るようにもなって。
ともこ 私に子どもができた時には、やすよのほうから「先に帰らなあかん時は帰って。私が打ち合わせに出るから」と言うてくれた。「その代わり、私が言うたことはお姉ちゃんも同じ意見ということにしてな」と。その時に、「任された人の決断は、よほどのことでない限り2人の意見とする」と決めたんよね。それから私はめちゃくちゃラクになったよ。
やすよ 私もいつの間にか「やめたい」という気持ちは消えてたわ。
ともこ 仕事上での違和感や試行錯誤はあったけど、恋愛や結婚が理由で「やめたい」と思ったことはお互いにないよね。
やすよ 「彼氏に芸を見せたくない」という人もいるけど、そういうのは一切なかったね。