イラスト:古村耀子
別れが予期できたものであれ、突然であれ、連れ添った相手を喪えば、さまざまな思いが去来するもの。でも、現実は待った無し。一周忌を迎えるまではやらなければならないことが山積みです。 

まずは「葬儀・法要」について。悔いのない見送りをするためのポイントとは。終活カウンセラー協会代表理事の武藤頼胡さんに聞きました。(構成=島田ゆかり イラスト=古村耀子)

遺体安置から葬儀まで1週間近く空くケースも

現代では、約7割の方が病院で最期を迎えます。そのため、ここでは病院で看取った場合のお話をしていきましょう。

夫を亡くした妻が、まず行わなければならないのは【ご遺体の搬送】です。近年、病院での遺体安置時間はどんどん短くなり、夜中でも速やかな対応が求められる場合があります。遺体をどこに搬送するか、事前に決めておくことが必要でしょう。

最近では、葬儀社や火葬場などに併設された安置所を選ぶ人が多いようですが、やはり「家に帰らせてあげたい」とご自宅を希望される場合も。ただし、都市部は火葬場が混み合っており、葬儀まで1週間近く空くケースもあるので、途中から葬儀社や火葬場の安置所に移動しなければならないこともあると覚えておきましょう。

次に【葬儀社の手配​】です。事前に決めているところがあれば、担当者に連絡を。未定の場合は病院から紹介された葬儀社などに、搬送だけ依頼するのも手です。搬送を担当した葬儀社が、ご遺体を寝かせる布団や枕飾り、ドライアイスなども用意してくれます。

気をつけたいのは、夫の臨終後、慌ててあちこちに訃報の連絡をしないこと。葬儀の形式が決まるまでは、できれば身内への連絡に留めておきたいものです。というのも、友人や会社、ご近所の方などに連絡をした後に家族葬にすると、参列のお断りをしなければならなくなり二度手間になるからです。

無事に搬送が済んだら、【葬儀内容の打ち合わせ】をしましょう。気になる書類関連ですが、死亡診断書は医師が用意してくれますし、死亡届や火葬許可証の手配は葬儀社が行ってくれますので、遺族の手を煩わせることはありません。

搬送とは別の葬儀社に葬儀を依頼したい場合は、可能な限り見積もりを取り、比較して決めるのがベター。料金に加え、細かい要望を汲んでくれるかを見るとよいでしょう。とはいえ、やるべきことが多いと冷静な判断ができないもの。元気なうちに一度見積もりを取り、どれほど値段の幅があるか知っておくと慌てずに済みます。